会計監査の重要な証拠あつめの手法(監査手続)として、企業の在庫棚卸に立会うという手続きがあります。
在庫というのは、財務諸表の重要な項目の一つであり、それが実在すること、および、評価金額が正しいことというのは、調べておくべき項目です。
ところが、在庫というのは、膨大な量があるので、会計士一人では見切れません。そのため、企業の方に棚卸をしていただいて、その現場に立会うことで代用してるのです。
十数年前、新米会計士だったころ、上司に指示されてこの棚卸の立会をはじめて経験しました。もっともそのころはど新人だったので、企業の棚卸ってどうするのか(教科書以外)実態を全く知りませんでした。
また、棚卸は、地方の倉庫などに行って、会計士一人(棚卸はいろんな会社で同じ時期に行いますので人手不足)で行うことが多いのです。
早朝から始発の新幹線に乗って出かけていって、上司に渡された手続書(
チェックリスト)一枚もって、現場(田舎の営業倉庫)に着きました。
「さあ、どうしたものか?」と思いましたが、現場の棚卸責任者と本社からこられた営業統括部長と名刺交換して、棚卸がスタートしました。
背広に
ヘルメットをかぶりながら、在庫のある場所をあちこちうろうろしてみました。とりあえずは、真面目に棚卸作業をやられている様子だったので、まあ大丈夫なのかもしれませんが、とても「在庫金額を証明するに値する監査証拠を得た」と自信をもって言える状態ではありません。
不安になったので、近くにおられた本社統括部長の方に「実は、こちらの棚卸の立会いは初めてなので、棚卸作業のチェックのし方など教えてもらえませんか」とたずねてみました。(ほんとは、監査人はなめられたらいけないので、こうしたことはルール違反です。相手の方も内心あきれられたのかもしれません。
ただ、聞いておいてよかったと思いました。いろいろと親切に教えていただき、
サンプルの収集や基礎データとの突合せ、棚卸の問題点の洗い出し、長期滞留在庫の発見など、それなりの棚卸立会作業を行うことができました(なんとかカッコがついた。少なくとも一人のひよっこ会計士の育成には役立った)。
お昼過ぎに棚卸が終わって、本社統括部長さんと一緒にご飯を食べていたとき、、
私「今日はいろいろ、教えていただいてありがとうございました」
部長「いえいえ、、、、実はわたしにとっては棚卸などどうでもいいのです(できてあたりまえ)。」
私「え?」
部長「私にとっては、こうした地方の営業所の実態を見ておくことの方が大切なのです。まあ、報告書はあがってきますが、それだけではここの実態は分かりません。
実質的に、この現場を切り盛りしているのが誰で、誰ががんばっていて、営業成績をあげるために必要な人材が何処にいるのか確認しにきているのです、、、」
私「なるほど!」
監査の教科書に書いてある棚卸と実際の棚卸の
ポイントは、ずいぶん違うものです。
posted by SE会計士の日記 at 08:19|
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会計・税務
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